日本株運用者の視点

求められるオープンイノベーションへの取り組み

2017年05月12日

髙橋 浩太

髙橋 浩太

日本株式 小型株ファンドマネジャー兼アナリスト

最近大企業から中小企業まで中期経営計画などでオープンイノベーションを自社の戦略として掲げる企業が増えております。オープンイノベーションとは技術革新を実現するため、外部から技術やアイディアを取り込む経営手法です。市場のグローバル化や消費者ニーズの多様化、製品サイクルの短縮化などで将来の不確実性が大きくなる中、製品開発や研究開発のスピードと多様性の両立が求められております。今までのように全てを自社で完結することが難しくなり、多くの日本企業にとってオープンイノベーションが重要な経営課題となりました。
欧米企業はスピード重視で、必要に応じて外部から最適な技術を取り込むのに抵抗感が少ないため、他の企業やスタートアップが持つ技術やアイディアを取り込み革新的な製品開発を行うオープンイノベーションの土壌が以前からありました。一方で、日本企業は高度成長時代に研究開発から製品化まですべてを自社内で手掛ける自前主義で強くなりました。その成功体験が今も根強く残り、外部との連携に慎重な企業が少なくありません。日本の縦割り文化による囲い込みや企業規模の差、事業の競合や情報の非対称性など、様々な理由からオープンイノベーションへの取り組みが加速しませんでした。かつての半導体や液晶などのハイテク技術の開発は日本企業のような自前主義でもある程度は対応できました。しかし近年のIoT、フィンテック、シェアリング・エコノミーのような企業や国境の壁を超えたオープンイノベーションの波に日本企業は十分に対応できていません。
イノベーション活動は企業の競争戦略の根幹であるが故に、他社との協業は様々なリスクや社内からの抵抗を伴うことがあります。十分な成果を出せていない企業や取り組みが停滞している企業では、企業内にリスクを避けようとする前例主義や減点主義といった風土が存在していないか、自前主義が阻害要因になっていないか、経営陣が率先して改革に取り組むことが重要です。外部の技術やアイディアなどを活用して積極的に激しい事業環境の変化に対応しないと、長期的な成長力が低下する恐れがあります。オープンイノベーションを活用して顧客ニーズの変化や技術の進化に対して最適な製品・サービスを提供することで、模倣されにくい持続的な競争優位を作り出すことが求められております。
新しい技術やサービスが今後も続々と出現することが期待され、長期的な視点と綿密な調査で投資機会を発掘してきたいと考えています。

 

本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

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