日本株運用者の視点

シクリカルグロースを探す

2018年05月11日

三浦 隆史

三浦 隆史

日本株式 セクターアナリスト

私が担当しているテクノロジーセクターは、景気循環と連動しながら業績も大きく変動するシクリカルな業界です。どの会社も景気循環から影響を受けるのは避けられませんが、景気循環のサイクルごとに前回のピークを越えて業績が拡大していく会社と、シクリカルに業績の好不調を繰り返すものの長期で見ると利益が横ばいの会社、あるいは長期で業績が低迷してしまっている会社とに分かれます。景気サイクルごとに前回ピークを越えて成長していく会社のことをシクリカルグロースと呼びますが、シクリカルグロースの会社とその他の会社では何が違うのでしょうか?いろいろな要因が考えられますが、私が担当している中でシクリカルグロースと言える企業に共通する特徴をいくつか挙げてみます。

1つ目の特徴は、社長に存在感があることです。説明会では原稿の棒読みではなく自分の言葉で説明し、質疑応答まで全て自分でこなせてしまう。そして社長としての在任期間も長く、会社に対するコミットメントも高い。自社の強みをよく理解していて、ビジネスモデルや会社の方向性が明確になっている。そんな存在感のある社長がいる会社は、競争力や成長性も高くなる傾向があると思います。

2つ目の特徴は、市場シェアの高さです。高い市場シェアを確保できている背景は会社によって異なります。研究開発に注力することで技術的に常に他社を先行する企業、自社の強みが活きるニッチ市場に経営資源を集中投下する企業、顧客の懐に入り込むことで顧客ニーズを他社よりも早く知ることができる企業、コスト競争力が優れている企業などが例として挙げられます。高い市場シェアを確保できている理由は各社各様ですが、独自の方法で高い参入障壁を築いている企業は利益率も高いので、そこから生まれるキャッシュを活用して柔軟な成長戦略を立てることができます。

3つ目の特徴は、変化に対する柔軟性です。成長市場で高いシェアを持っていたとしても、右肩上がりの成長がずっと続く市場はありません。成長はいずれ鈍化していき、市場が成熟します。特定の成功体験、特定の市場に固執して変化する努力を怠ってしまうと、今は成長していてもいずれは市場の成熟化にあわせて会社の成長率も鈍化していきます。一方でシクリカルグロースの企業は、今の高い成長率に驕ることなく、成長に対する投資を積極的に行います。市場の変化に応じてビジネスの中身も柔軟に変化していくので、既存製品の成長率が鈍化しても何かしらの新しい成長ドライバーがあります。

社長の存在感、高い市場シェア、変化に対する柔軟性、というシクリカルグロース企業の3つの特徴を挙げました。これらはあくまでも一例で、独自の強み、独自の成長戦略で他社を上回る高い成長率を実現している会社はたくさんあります。そんな会社の株価が一時的な要因で下がっている時は、長期投資家にとって買いの好機だと思います。四半期決算や月次データももちろん大切ですが、短期のノイズに惑わされることなく、長期的な視点に基づいたリサーチ活動を心掛けたいです。

 

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

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