2018年市場見通し

2018年市場見通し 世界経済

2017年12月27日

キース・ウエ―ド

キース・ウエ―ド

チーフ・エコノミスト

現在

  • 政治リスクは後退。市場はゴルディロックス(過熱も冷え込みもない適温)環境に注目
  • リスク資産への投資にとって好環境

2018年

  • 米国の経済成長は継続。インフレ率は上昇の余地あり
  • トランプ政権の税制改革の実現の可能性を排除してはならない
  • 量的金融緩和の縮小には警戒が必要(特にユーロ圏)

 

米国トランプ政権の発足、英国のEU離脱決定、欧州の相次ぐ選挙など、2017年初め懸念されていた政治リスクは後退し、市場の関心はマクロ経済指標へ移行しました。

主要経済指標は堅調な成長を示しており、世界的な景気回復の恩恵が貿易、経済活動、企業業績に波及しています。米国、欧州、日本などの先進国にとどまらず、新興国においても経済成長は拡大基調にあります。

ここ数年、下方修正の傾向が続いていた世界の経済成長見通しも、2017年は上方修正に転じています。世界経済は、景気循環において持続可能な回復局面にあります。また、業績見通しが改善傾向にあることも、株式にとってもプラス要因といえます。

一方、物価上昇(インフレ)率は低位で推移しています。特に米国のコア消費者物価指数(食品、エネルギー除く)は2017年1月に前年同月比2.3%上昇だったものの、9月は1.7%上昇にとどまっています。世界的に景気拡大が続く中、インフレ率が高まらず、デフレにも陥らない「ゴルディロックス(過熱も冷え込みもない適温)」の環境は、金利上昇が抑えられるうえ、企業業績の改善が見込めるため、株式などのリスク資産への投資にとって追い風となっています。

米国:トランプ相場にのるべきか

好調な米国経済は、これまで個人消費がけん引してきました。ただし、足元では個人消費支出が鈍化し、節約志向が徐々に広がっているとみられます。一方、企業景況感は大きく改善し、設備投資意欲が高まってきています。今後は企業投資の拡大が米国の経済成長の原動力となっていくでしょう。

米国では失業率が低下しても賃金が伸び悩む状況が続いています。そのため雇用拡大→賃金増→物価上昇といった従来の循環につながらず、物価も停滞していると考えます。労働市場がほぼ完全雇用の状況でも賃上げ圧力が高まらない要因として、金融危機後に就業が減退するなどして労働参加率自体が大幅に低下したため、依然として雇用全体の需給に緩みが残っている可能性が挙げられます。今後、労働参加率の高まりにより、賃金上昇率がどのように変化するかに注目しています。

インフレ率は通常、経済成長からかなり時間をおいて連動する傾向があります。2016年の米国の軟調な経済成長を受けて、これまでインフレ率の上昇が抑制されてきました。2017年は経済成長が堅調だったことから、今後、企業が値上げに積極的になればインフレ率を押し上げると予想します。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月に利上げを実施した後、2018年はさらに3回程度の利上げを実施する見通しです。

2018年、米国では中間選挙があります。トランプ大統領の低い支持率を受けて、共和党にとって厳しい結果になることが予想されます。一方、大幅に議席を失うことで共和党内の結束力が高まり、税制改革に向けて前進する可能性もあります。また、減税法案の成立は、米国の経済成長を押し上げるでしょう。

ユーロ圏・英国:2つの経済の行方

ユーロ圏の経済は国によって成長はまちまちではあるものの、総じて堅調です。ただし、ユーロ高には注視しています。2018年、欧州中央銀行(ECB)は金融引き締めを開始し、2018年内に量的金融緩和を終了するとみられます。

一方、英国経済は減速傾向にあります。英国の欧州連合(EU)離脱の先行き不透明感から企業活動は低迷しており、個人消費支出も減速しています。

そうした中、今後2年から3年はイングランド銀行(英国中央銀行)が利上げを実施する可能性は低いと見ています。

日本:アベノミクスは継続

日本の経済成長は堅調です。失業率にさらなる低下余地がみられるため、今後賃金上昇が見込まれます。景気回復と企業業績の改善に伴い、企業の設備投資も一層拡大するでしょう。2018年はこうした企業活動が、日本の経済成長をけん引していくと考えます。

日銀は短期金利をマイナス0.1%、 長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)を維持していますが、2018年には長期金利を0.1%から0.2%程度引き上げる政策に転換する可能性があると見ています。

新興国:平穏を取り戻したか

新興国経済に対して、強気の見方を維持しています。従来、米国の利上げ局面では新興国からの資金流出が目立っていました。今回は、米国が量的金融緩和を縮小する前から新興国通貨が下落するなど、新興国市場の調整が始まっていました。実際にFRBが利上げを開始した後も、新興国通貨は概ね安定しています。その結果、インフレ率の上昇も抑制されており、金利も低下傾向にあります。今後FRBが利上げを進めても、新興国経済は安定していると予想し、引き続き新興国の株式および現地通貨建て債券に投資妙味があると見ています。

中でもラテンアメリカ諸国では設備投資などの企業活動が活発になっています。また、米国の受注が前年比で大きな伸びを示していることから、今後ブラジルの鉄鋼やメキシコをはじめ、ラテンアメリカ諸国からの輸入の増加が見込まれます。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉の行方に注視する必要がありますが、ラテンアメリカのマクロ経済環境は概ね良好と見ています。

中国の生産者物価指数(PPI)は2017年に反転し、デフレからインフレへ転換の兆しがみられます。また、海外への資金流出の規制などにより、中国の外貨準備が2017年に入り再び増加に転じており、これらが中国経済のプラス要因につながると考えます。

量的金融緩和(QE)から量的金融緩和縮小(QT)へ

米国、欧州、日本などの量的金融緩和を中心に、世界の流動性は拡大傾向にありました。中央銀行のバランスシートは2017年に約1.5兆米ドル増加しました。これまで世界的な金融緩和政策が、金融市場の原動力の一つとなっていました。しかしながら、すでにFRBは金融引き締めに入っており、ECBも2018年から量的金融緩和を縮小することを決めています。2018年のリスク要因の一つとしては金利上昇が挙げられます。

 

 

上記の資産クラス別見通しは++(強気)/+(やや強気)/0(中立)/ー(やや弱気)/--(弱気)の5段階で示しています。詳細は「グローバル市場見通し」をご覧ください。

 

 

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