シュローダー・インサイト

サステナビリティ ー規制のための規制とならないためにー

2018年5月11日

ジェシカ・グランド

ジェシカ・グランド

スチュワードシップ グローバル・ヘッド

シュローダーでは、企業とのエンゲージメントや実態調査など、サステナビリティへの取り組みを掲載したサステナブル・インベストメント・レポートを四半期毎に作成しています。本レポートでは、2018年第1四半期のサステナブル・インベストメント・レポートを構成する内容の一部をご紹介します。今回はサステナブル投資を取り巻く規制の動向についてです。

現在、運用業界ではサステナブル投資へ関心を持つことはもはや不可欠であるという転換点を迎えようとしています。この勢いを維持し、金融業界におけるサステナブル投資の重要性をさらに高めようとするのであれば、適切な協調体制と政策的基盤を構築していく必要があります。そうすることによって、イノベーションの創出を維持しながらも高い基準を築いていくことが可能となるでしょう。

責任あるファンドマネジャーとして、規制当局や政策決定者とエンゲージメントを行うことも重要な役割のひとつです。英国財務報告評議会(FRC)および欧州委員会が立ち上げたハイレベル専門家グループ(HLEG)によって、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードに対する提言が示されましたが、以下では、それに対するシュローダーの見解を紹介します。

英国のコーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コード

運用会社として、および上場会社としての両方の立場から、シュローダーではコーポレートガバナンスとスチュワードシップの基準の強化を全面的に支持しています。特に原則の強化に重点を置いて、例外規定を減らしたコーポレートガバナンス・コードの改訂案は歓迎すべきしょう。

我々は、「遵守するか、遵守しない場合は説明する(Comply or Explain)」の規範を支持し、優れたコーポレートガバナンス・コードは強固な原則、情報開示、企業・株主間の建設的なエンゲージメントを通して達成されるものであると考えています。我々の優先事項は、厳格な基準を設けること自体を目標とするようなコンプライアンスの強化ではなく、企業の戦略、オーナーシップや環境などのガバナンス構造の適切性にあります。事業の成功という企業にとっての最優先事項に沿う形でガバナンス規定を実施する裁量が企業に委ねられていることが重要です。多くの投資家やアナリストが、ガバナンスに対して形式的な項目リストにチェックを入れ、その数で判断するようなアプローチをとる傾向が強くなってきており、懸念材料として捉えています。

企業が事業を営む上で、ステークホルダーの多岐にわたる関心や社会における広範な役割を考慮すべきであることには賛成です。そのためには、企業はこれらステークホルダーとエンゲージメントを行う必要がありますが、我々は、その対象を全てのステークホルダーではなく、重要なステークホルダーに焦点を当てたものであることをコーポレートガバナンス・コードは明確にすることが必要であると考えます。取締役会は多くの領域で直接的な管理を求められることが多くなっており、これらの役割を果たすためには、重要事項が何かを見極め、ビジネスの目的を果たす一環としてエンゲージメントを行うことが必要となります。

英国とFRCは、世界でスチュワードシップ・コードの先駆けとなる存在ですが、歩みを止めることなく今後も革新的であり続け、また時には他国のスチュワードシップ・コードの優れた点を取り入れることは重要であると考えます。例えば、日本ではエンゲージメントにおいて、アセットマネジャーが適切なリソースを有していることが求められます。スチュワードシップは我々が顧客に提供する価値提案の不可欠な要素であり、スチュワードシップ・コードに署名した機関としての責任を重く捉えています。しかしながら、スチュワードシップ・コードの署名機関に対して、そのスチュワードシップ行動に関する説明責任を果たすよう促すメカニズムが構築されていないことに我々は懸念を抱いています。インベストメント・チェーンの中でそれぞれの参加者が担うスチュワードシップ以外の役割におけるガイダンスなどが参考になるかもしれません。

投資に対する欧州委員会の対応

過去数年間で、欧州の政策決定者によるサステナブル投資への注目度は上昇しています。規制が厳しい金融サービス産業と政治的に注目を集めているサステナビリティの課題が交わると、政策措置の焦点となるのも必然といえるでしょう。

 

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