シュローダー・インサイト

サステナビリティ ー貿易戦争が企業のサプライチェーンに及ぼす影響ー

2019年2月7日

ジェシカ・グランド

ジェシカ・グランド

スチュワードシップ グローバル・ヘッド

シュローダーでは、企業とのエンゲージメントや実態調査など、サステナビリティへの取り組みを掲載したサステナブル・インベストメント・レポートを四半期毎に作成しています。本レポートでは、2018年第4四半期のサステナブル・インベストメント・レポートを構成する内容の一部をご紹介します。今回のテーマは、貿易戦争が企業のサプライチェーンに及ぼす影響についてです。

 

貿易戦争の動向は、2018年の大きなテーマとして取締役会や投資政策委員会からメディア等、様々な場所で激しく議論されてきました。「EUによる関税に伴いハーレー・ダビッドソンが生産拠点の一部を米国外に移転する」や、「関税が重しとなりゼネラル・モーターズが工場停止」といった報道が紙面を賑わせたことは記憶に新しく、このような状況は2019年も続くと予想されます。シュローダーでは、複雑で混乱した状況に対して少しでも明確な見方を提示するためには、日々の報道を追うのではなく、保護主義の高まりがサプライチェーンにおける商品の流れに及ぼす影響を分析し、各企業が抱えているリスクを客観的に評価することが重要であると考え、そのための定量モデルを策定しました。この分析の結果、米国の家庭用品メーカーやオンライン小売企業といった業界のサプライチェーンが特に影響を受けやすいことがわかりました。

 

貿易戦争の激化

米国と中国の間での関税の掛け合いは2018年最も注目を集めた議題の一つでした。2018年初の時点では、影響を受けると考えられていた商品はごく一部でしたが、その後鉄鋼やアルミニウム、石炭、さらには豚肉や果物などの食品等、課税対象となる商品が急速に増加しました。米国は、中国からの輸入品に対する追加関税について、2018年3月には約300億ドル相当に対して賦課していたものを、9月には約2500億ドル相当まで拡大させており、これは2017年の中国から米国への輸出額の約半分にあたります(図表1)1。このような貿易戦争の激化を受け、国際通貨基金(IMF)は2019年の世界経済の成長見通しを0.2%引き下げました(図表2)。また、これらのリスク要素は企業の経営計画にも影響を及ぼしており、「trade wars」という単語を開示資料で用いた米国の企業数は2018年中に急速に増加しました(図表3)。

US Census, Trade goods with China

 

 

 

  

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